第65章トラップの設定

グレースは部屋へ駆け込んできた。涙を瞳いっぱいに溜めたまま、足早にアンナへ近づいてくる。

「ライスさん、大丈夫ですか?マークのことで何が起きたか聞きました。全部、私のせいです――私が夕食に誘って、いっしょに来てもらったりしなければ、こんなことには……」

罪悪感でいっぱいの顔。今にも涙がこぼれ落ちそうで、これ以上ないほど哀れに見えた。

だが、被害者が当のアンナでなければ、その芝居に騙されていたかもしれない。

「泣き終わった?」アンナは淡々と尋ねた。

グレースはぴたりと固まり、慌てて涙を拭う。「まだ私のこと、怒ってますか?」おずおずと聞いた。

「ぜんぜん。ただ、これをマークに渡したの、...

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